屋久島の温暖な気候によって育まれた熱帯果樹
1万3千人ほどが暮らす鹿児島県の離島、屋久島。土地の約9割を高く険しい山々が支配し、九州最高峰といわれる宮之浦岳(みやのうらだけ)をはじめ1,000m級の山々が連なる姿から、洋上のアルプスと呼ばれることもあります。
そんな自然豊かな屋久島では、温暖な気候と土地の傾斜を利用してパッションフルーツやマンゴー、パイナップルといった熱帯果樹が多く栽培されています。その中でも、ポンカンとネーブルオレンジの自然交配種である「たんかん」は、あま味が強く後味スッキリ。それぞれの果実の美味しい特徴を合わせ持つ魅力的な果物です。
生でも美味しいたんかんを100%のジュースに
今回ご紹介する返礼品は、そんな甘みたっぷりのたんかんを100%使用したジュースです。原材料名に記載されているのは「たんかん(屋久島産)」のみ。無添加、無香料で保存料も一切使用していません。生の果実にも引けを取らない濃厚なストレート果汁は、小さな子どもから高齢の方まで、幅広い世代に親しまれる安心・安全の美味しさです。
屋久島に本社と製造工場を構える屋久島ふれあい食品株式会社「屋久屋」では、屋久島で収穫されたさまざまな果樹を使用したジュースや加工品を作っています。その様子を工場長の岩川功(いわかわ いさお)さんに案内していただきました。
寒さとともに甘みを増していくたんかん
たんかんの旬は、寒さが際立つ真冬。ほどよく海風があたり、太陽の光がさんさんとふりそそぐ海沿いの斜面で育ったたんかんは、寒さとともに一気に甘みが増していきます。2月になると果実の色付きを観察しながら、1カ月から1カ月半ほどかけて収穫。はじめの方に採れた果実は主に青果として販売され、ジュースなどの加工品には一般的に規格外とされるたんかんが使用されます。規格外といっても、その多くは見た目や大きさだけで“外れてしまった”もの。味や品質は青果として販売されているものとほぼ同じです。
手作業で変わらぬ味を作り続ける
屋久屋のジュース作りは、そのほとんどが手作業で行われます。まずは、たんかんを温めるところから。なぜたんかんを温めるのか、岩川さんに聞いてみたところ「温めることで皮が剥きやすくなるんですよ」とのこと。機械むきではなく手で丁寧にむくことで、たんかんの品質を目視でチェックできる利点もあります。
皮を剥いた後は果汁を絞って容器に移し、搾汁した日と糖度を記入します。たんかんは採れた時期によって糖度に多少のバラつきが出てしまうもの。年中変わらない味と甘さに仕上げるため、糖度の異なるたんかんの果汁をブレンドし、12度から13度ぐらいの糖度になるように調整します。さらに専用の釜で煮沸とあく取り作業を行い、缶に充填(じゅうてん)。こうして果実の濃厚な美味しさが詰まった、たんかんジュースの出来上がりです。
屋久島の美味しいひと口を届けるために
屋久島ふれあい食品株式会社は平成23年に、屋久島の発展と雇用拡大に貢献することを目的に設立されました。鹿児島姶良(あいら)市に営業事務所を構え、日本各地に屋久島の美味しいひと口を届けています。
たんかんジュースだけでなく、たんかんの果汁を使ったドレッシングや果皮を使ったスイーツ、パッションフルーツを使ったジュースなども人気。島で採れるフレッシュな果汁は、都市部のジェラート店や和菓子店で原料としても使われ、その味わいで人気を集めています。
現在、屋久屋では4人体制で、たんかんジュースをはじめとする加工品の製造を行っています。「工場内は基本的に立ちっぱなし。体を使う仕事が多いので、収穫時期など体力的に大変な時もあります。でも、屋久島で暮らすお客さんからの『島の外で暮らしている家族に屋久島産のものを贈れて嬉しい』『島で採れるもので商品を作ってくれてありがたい』といった声が仕事の楽しさややりがいにつながっているんですよね」と岩川さん。丁寧な手作業で心を込めてつくられた商品には、「お客さんに喜んでもらいたい」という屋久屋のみなさんの思いが込められています。
キュッと冷やして甘みを楽しんで
たんかんジュースの美味しい飲み方について尋ねると「やっぱり冷やして飲むのが1番!」と岩川さん。冷やすことで、たんかんのみずみずしい甘みが一層際立ち、口の中に柑橘のさわやかな香りが広がります。氷をたっぷり入れて飲むのはもちろん、夏の暑い日はたんかんジュースを冷凍庫で凍らして、クラッシュアイスのように砕いて食べるのもおすすめです。
ほかにも、パンづくりが好きな方は生地に混ぜたり、お菓子づくりが得意な方はゼラチンと合わせて柑橘ゼリーにしたりする人もいるそう。フレッシュなストレートジュースだからこそ、幅広く色んな楽しみ方ができそうですね。屋久島に降り注ぐ太陽のように鮮やかなオレンジ色の果汁を味わいながら、屋久島の自然に思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
九州支部(鹿児島県屋久島町担当) / 福島 花咲里(ふくしま かざり)
生まれも育ちも鹿児島県。現在は南九州市頴娃町(えい町)を拠点に、フリーランスのブロガー、ライターとして活動しています。2016年11月より個人ブログ「ONESELF Lab|ワンセルフラボ」の運営を開始し「わたしと町の研究所」をコンセプトに、日々の田舎暮らしを記録。ケの日に寄り添った文章表現が得意です。
小説『浮雲』で「ひと月に35日雨が降る」と表現された屋久島。雨も多いですが、晴天時には空に大きな虹がかかることもあります!