安心・安全の地元食材を扱う小さな農家の応援隊 | 沖縄県宜野湾市の旅行レポート

沖縄本島の中心、那覇市の北側に位置する宜野湾市は、
琉球王国成立(1429年)以前の国王・察度(さっと)の生誕地として、
かつては政治や経済の中心として栄えてきた歴史のある街です。
今回は「小さな農家の応援隊」をコンセプトに掲げる市場や、
沖縄の素材を生かしたお菓子が人気の店を訪ねながら、宜野湾市の魅力に迫りました。

安心・安全の地元食材を扱う小さな農家の応援隊 | 沖縄県宜野湾市の旅行レポート

沖縄本島の中心、那覇市の北側に位置する宜野湾市は、琉球王国成立(1429年)以前の国王・察度(さっと)の生誕地として、かつては政治や経済の中心として栄えてきた歴史のある街です。今回は「小さな農家の応援隊」をコンセプトに掲げる市場や、沖縄の素材を生かしたお菓子が人気の店を訪ねながら、宜野湾市の魅力に迫りました。

赤瓦の社殿が美しい普天満宮を訪ねる

赤瓦の社殿が美しい普天満宮を訪ねる

 まずは宜野湾市の中心地、普天間(ふてんま)にあり、県内の人々から崇敬を集めている「普天満宮」を訪ねてみました。国道330号、普天間交差点近くに位置し、鳥居の向こうに見える赤瓦の拝殿はとても沖縄らしい造りです。熊野権現、そして琉球古神道神を祭っていて、琉球八社の一つにも数えられています。
 参拝を済ませたら、境内にある普天間洞穴も拝観してみましょう。社務所で受付を行うと巫女さんが案内してくれるこちらの洞穴は全長約280m。鍾乳石が連なる内部は静寂に包まれ、まさに厳かで神秘的。奥宮へ手を合わせ旅の無事を祈願しつつ、普天満宮を後にしました。

〈上〉清浄な空気が流れる普天満洞穴は宜野湾市の天然記念物にも指定されている 〈左下〉青空に映える赤瓦の社殿。狛犬ならぬシーサーも沖縄ならでは 〈右下〉国道から見える鳥居と拝殿。参拝者も多く特に初詣は大変な賑わいを見せる


農家からのおすそ分けが並ぶ人気マーケット

農家からのおすそ分けが並ぶ人気マーケット

 向かったのは、アパートが立ち並ぶ住宅街のど真ん中。「こんなところに?」という場所にあるのが、地域の農家との絆を大切にした農産直売所「ハッピーモア市場」です。
 「父がもともとトマト農家だったんです。余ったトマトハウスを利用して直売所を12年前にオープンしました」と語るのは代表の多和田真彦さん。明るい笑顔が印象的な多和田さんですが、実は農業はまったくの未経験だといいます。オープン当初は野菜を売ってくれる農家が少なく、苦労の連続だったとか。「野菜が少ないからお客さんが来ない。スカスカの売り場を埋めるために古着やおもちゃも販売していたほどでした」と多和田さんは当時を振り返ります。

〈上〉手探りの状態から人気マーケットへと導いた多和田さん。野菜は夏よりも冬の方が豊富なのだとか 〈左下〉手作りマヨネーズ、香辛料、天然塩など県産の加工品も豊富に取り揃えている 〈右下〉ハウス内にずらりと並ぶ島野菜や南国フルーツ

 転機が訪れたのは5~6年ほど前。知人のアドバイスにより、小規模生産者へ1軒1軒電話をかけ、余った野菜を販売してもらうよう交渉を続けたところ、その熱意が通じ、徐々に野菜が売場に集まるようになりました。実は小さな農家では、大規模に卸すほどはないけれど、家族だけでは食べ切れない野菜が余っていたそうです。そのおすそ分けを無駄にしないハッピーモア市場の考えは、すべての野菜に愛情を注いできた農家にとっても喜ばしいことでした。当初は20軒ほどだった提携農家が、今では600軒を超えるまでに増加。あふれんばかりの野菜や果物が店内に並んでいます。
 現在は、野菜たっぷりのスムージーやカレーを提供することで食材のロスを減らすなど、他の直売所とは異なる取り組みも実施。カレーやスムージーを目的に訪れる人も多いそうです。農家に寄り添い食材を大切にするハッピーモア市場は、訪れるだけで心が温かくなる、まさにハッピーになれる市場だと感じました。

〈上〉向かって左から野菜スムージー330円、ドラゴンスムージー440円、マンゴーラッシー440円。すべてSサイズの価格 〈左下〉野菜カレーとグリーンカレーの2種類、バナナケーキとスムージーも付く市場2種カレーランチセット1100円 〈右下〉無農薬や減農薬化がわかるようシールの色によって識別するなど消費者に分かりやすい表示も人気


宜野湾市への思いをコルネに詰め込む

宜野湾市への思いをコルネに詰め込む

 続いて、沖縄では唯一というコルネ専門店「コルネとサンドのお店pippi」を訪ねました。代表の宮國恵将さんは、出張先の福岡市でコルネパンを見かけ「沖縄素材のフレーバーを使ったコルネを宜野湾市の特産にしてみたい」と思ったそうです。
 宮國さんの作るコルネはパンではなく、パイ生地を筒状に丸めてクリームを詰めたもの。食感を生かしつつ垂れないクリーム作りに苦労したそうで、完成までに約1年の歳月がかかったとか。その努力の甲斐あって、2013年には宜野湾市産業まつりで宜野湾市長賞を受賞。また、2019年のニッポン全国ご当地おやつランキングでグランプリに輝くなど、沖縄県の特産品としての不動の地位を築きました。現在では常時商品の島バナナや読谷産紅芋から、季節商品のパイナップル、ドラゴンフルーツまで、全20種類のフレーバーを取り扱っています。

〈上〉コルネ1個220円。10種類のフレーバーが常時店頭に並んでいる 〈左下〉1つずつ手作業でクリームを生地の中へ 〈右下〉宜野湾市特産の田芋を使ったコルネ。粘りが強いためかなり苦労を強いられたとか。レアなフレーバーなので店頭にあれば即買いしよう

 それでは、さっそくコルネをいただいてみましょう。フレーバーは島バナナをチョイス。サクッとした歯ごたえの生地と甘酸っぱい島バナナの生クリームがなんとも絶妙です!ついつい「次はどのフレーバーを食べてみようかな?」と、ショーケースから次の商品を選びたくなりました。コルネは冷蔵で1日、冷凍で3日持つそうなので、気軽な手みやげとして購入するのもよいでしょう。
 また、pippiではコルネだけでなく、サンドイッチやハンバーガーも20種類近く用意されています。なかでも最も興味を魅かれたのがG-1バーガー。こちらもいただいてみると、2種類のチーズとオリジナルのトマトソースがパテの旨みを引き立てています。G-1という名前には、「宜野湾市を代表するバーガーになってほしい」という宮國さんの思いが込められているそうです。

 今回は、由緒正しい普天満宮を皮切りに、生産者と消費者を結ぶマーケット、地元の素材を使ったコルネ店を巡りました。郷土への思いに溢れた宜野湾市を訪ねてみませんか。
(2019年12月)

〈左〉ボリュームたっぷりのG-1バーガー540円はバジル入りのオリジナルクリームチーズなども使用。バンズがやわらかく食べやすい 〈右上〉席数は少ないがイートインスペースも用意されている 〈右下〉沖縄国際大学のすぐ近くに立つ

るるぶ特派員が選んだ 注目のお礼の品 おもろ3種アソート(6個入) 12箱セット

るるぶ特派員が選んだ 注目のお礼の品 おもろ3種アソート(6個入) 12箱セット

宜野湾市に本社を置く菓子メーカー「ファッションキャンディ」が提供するお礼の品。県産素材の風味を生かした餡と香ばしい折りパイ生地でクリームチーズをサンドした焼き菓子で、県内外にファンが多い逸品です。こちらのセットでは、優しく素朴な味わいの「紅芋」、爽やかな香りの「たんかん」、糖度の高さと鮮やかな色合いが特徴の「黄金芋」の3種類が楽しめます。
※掲載の「お礼の品」は品切れや季節の都合で受付を終了・中止していることがあります。

沖縄県産紅いも、やんばる産タンカン、伊計島産の黄金芋をそれぞれ使用

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SPOT LIST

普天満宮(ふてんまぐう)

【電】098-892-3344【住】沖縄県宜野湾市普天間1-27-10【交】沖縄自動車道北中城ICから車で10分【料】拝観無料【時】10~17時【休】無休【P】40台

ハッピーモア市場(はっぴーもあいちば)

【電】098-896-0657【住】沖縄県宜野湾市志真志1-247-1【交】沖縄自動車道西原ICから車で10分【時】10~18時【休】日曜【P】50台

コルネとサンドのお店pippi(こるねとさんどのおみせぴっぴ)

【電】098-893-2132【住】沖縄県宜野湾市宜野湾3-16-25ファインギノワン1F【交】沖縄自動車道西原ICから車で10分【時】9~20時(1月1~3日は~17時)【休】無休【P】2台

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