秘伝のタレ「かるみ」 | 静岡県三島市 の旅行レポート

伊豆半島の北部に位置する三島市は、三嶋大社の門前町として栄え、
富士山の雪解け水が湧く「水の都」としても知られています。
そんな三島市の名物といえば、自慢の湧水によって育まれたうなぎ。
市内に点在するうなぎ店のなかでも、江戸時代から続く名店をご紹介します。

秘伝のタレ「かるみ」 | 静岡県三島市 の旅行レポート

伊豆半島の北部に位置する三島市は、三嶋大社の門前町として栄え、富士山の雪解け水が湧く「水の都」としても知られています。そんな三島市の名物といえば、自慢の湧水によって育まれたうなぎ。
市内に点在するうなぎ店のなかでも、江戸時代から続く名店をご紹介します。

まずは三島を代表するパワースポットと清流へ

まずは三島を代表するパワースポットと清流へ

 三島市の定番観光地といえば、地名の由来にもなったといわれる「三嶋大社」。創建時期は不明ですが、奈良・平安時代の古文書にも、富士山や伊豆諸島の噴火造島を司る神として崇められた記録が残る由緒ある神社です。源頼朝が源氏再興を祈願し、旗あげに成功して以来、多くの武士からも崇敬を集め、伊豆国一宮として栄えました。広い境内には、重要文化財に指定されている御殿をはじめ、歴史ある建物や史跡が並んでいます。
 また、富士山の伏流水が湧き出る小浜池を水源とする「源兵衛川」も、三島を代表するスポット。市内中心部とは思えないほどの清流で、初夏の夜にはホタルが舞うことも。片道約1.5㎞の川沿いを散策してみると、マイナスイオンがたっぷりと感じられました。

〈上〉三嶋大社では、本殿・弊殿・拝殿を総じて御殿と称している 〈左下〉境内には15種200本の桜の木があり、桜の名所としても知られる 〈中央下〉源兵衛川の中には飛び石が配置され、散歩を楽しめる 〈右下〉源兵衛川では水浴びする鴨の姿も見られる


「かるみ」と名水が育む極上の蒲焼

「かるみ」と名水が育む極上の蒲焼

 三島市~伊豆市を走る伊豆箱根鉄道の三島広小路駅。改札を出ると食欲をそそられる香ばしい匂いが漂ってくるこの駅から歩くこと数十秒、お目当ての店に到着しました。安政3年(1856)創業の老舗「うなぎ桜家」です。
 三島グルメといえば、富士山の伏流水で締めたうなぎ料理が有名です。市内に数あるうなぎ店のなかでも抜群の知名度と人気を誇るのがこちらの店で、地元はもちろん県外からも連日多くの人が訪れます。
 6代目のご主人である鈴木潮さんが店を受け継いだのは20歳のとき。以来、40年近く店を切り盛りし、伝統の味を守ってきました。そんな桜家の人気の秘密に迫ります。

〈上〉最大12匹分のうなぎを焼く。金串を持ったときの感覚で火が入っているかを見極める 〈左下〉平日でも昼時には行列ができるほどの人気店 〈右下〉和を基調とした落ち着いた空間が広がる

 うなぎの蒲焼は、白焼の状態で味の8割が決まるため、水と焼き加減が重要なポイント。桜家では富士山の伏流水でうなぎを締めることにより、臭みをとっています。締めたうなぎを関東風の背開きで捌いたら、長い金串に4枚のうなぎを刺して白焼に。焼き方にも桜家流のこだわりがあり、馬目樫の備長炭を使用しています。
 さらに、桜家の代名詞といえば「かるみ」。昔から継ぎ足している秘伝のタレを指す言葉で、風流な先代が「食べ飽きない味」という意味を込めて名付けたそうです。「かるみ」には砂糖はほとんど使われていませんが、不思議と甘みが感じられます。その甘さの秘密は、何とうなぎ。うなぎを焼きながらタレにくぐらせることにより、タレにうなぎのエキスが加わり、味が進化し続けているのだそうです。

〈左〉24時間、水を流しっぱなしにして、うなぎに刺激を与えることにより、身が引き締まる。1日に捌くうなぎは約600~700匹 〈右上〉代々継ぎ足してきたタレにくぐらせて焼く 〈右下〉うちわの使い方も重要。炭の状態を見ながら火加減を調整

 「炭の状態は毎回変わるので、焼き加減は手に伝わる感覚で覚えるしかない。だから、教わるというよりは、見て覚えて、独自で焼き方を学んだ」と振り返ってくれた鈴木さん。名水で締めたうなぎ、身をふっくらと焼き上げる鈴木さんの技、秘伝のタレ「かるみ」の3つが相まって、桜家ならではの蒲焼が出来上がります。「ただ軽いだけではなく、また食べたいと思わせる味」を提供するため、鈴木さんは日々、焼き場に立っています。

 三島市には、湧水に育まれたうなぎをはじめ、歴史ある神社など、富士山と深いかかわりのあるスポットがたくさんあります。絶品グルメや自然のパワーを実感しに、ぜひ訪れてみてください。 (2018年7月)

〈左〉うなぎ重箱(1匹)4300円。お吸い物、香の物が付く。うなぎの脂が口の中でとろける 〈右上〉うなぎの肝入りのお吸い物もダシがきいていておいしい 〈右下〉「40年近く店を続けていても、まだ毎日発見がある」という鈴木さん

富士山を一望できる!日本一長い吊橋

富士山を一望できる!日本一長い吊橋

「三島スカイウォーク」は、全長400mを誇る日本一長い歩行者専用吊橋。橋の上からは日本一高い富士山や駿河湾を一望でき、絶景スポットとして人気を集めています。橋の手前にはレストランやショップが集まっているほか、2018年夏には、橋を渡った先にある北エリアにアスレチックなどの新施設もオープン。

一番高いところは地上70mにも達し、スリリングな気分も味わえる

SPOT LIST

三嶋大社(みしまたいしゃ)

【電】055-975-0172【住】静岡県三島市大宮町2-1-5【交】JR三島駅から徒歩13分【料】【時】【休】境内自由(宝物館展示室は【料】入館500円【時】9~16時【休】不定休)【P】68台(1時間200円~)

源兵衛川(げんべえがわ)

【電】055-946-6900(三島観光案内所)【住】静岡県三島市芝本町ほか【交】JR三島駅から徒歩7分【料】【時】【休】散策自由【P】なし

うなぎ桜家(うなぎさくらや)

【電】055-975-4520【住】静岡県三島市広小路町13-2【交】三島駅から伊豆箱根鉄道駿豆線で3分、三島広小路駅下車、徒歩1分【時】11~20時(売切れ次第終了)【休】水曜(祝日の場合は営業)【P】提携駐車場利用350台

三島スカイウォーク(みしますかいうぉーく)

【電】055-972-0084【住】静岡県三島市笹原新田313【交】JR三島駅から東海バス元箱根港行きで25分、三島スカイウォーク下車すぐ【料】入場1000円【時】9~17時【休】無休 【P】400台

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