北に富士山、南に伊豆… 食材の宝庫に恵まれた三島
富士山の湧き水に恵まれた水の都、三島。三島駅からほど近い場所にある菰池(こもいけ)は、住宅地の中にもかかわらず、驚くほどに透き通っています。それもそのはず、この菰池は、富士山に降った雪や雨が長い年月をかけてろ過され、綺麗な水となって地表に顔を出した湧き水なのです。
今回ご紹介する「うなぎ割烹 御殿川」の三代目 海老名直久(えびな なおひさ)社長に三島の魅力をお尋ねすると、「北に富士山、東に箱根、南に伊豆、西に駿河湾と四方を豊かな自然環境に囲まれ、料理人としては食材の宝庫だ」と答えてくださいました。
水と緑に恵まれている一方で、新幹線で東京へのアクセスも良く、自然と都市型の利便性が良いバランスで整っている三島。今回は、そんな三島で有名になったうなぎの魅力をお届けします。
真空パックでより軟らかくおいしくなったうなぎの蒲焼
ご紹介する返礼品は、うなぎ蒲焼(真空パック)4人前。もちろん蒲焼のタレと山椒も人数分付いています。1匹ずつこだわりを持って焼き上げたうなぎの蒲焼を少し冷ましてすぐに真空パックに封入。電子レンジまたは湯せんで温めてから開封すると、出来立ての蒲焼の香りがふわっと漂います。
海老名社長は当初「真空パックにすると、折角こだわりを持って軟らかく仕上げたうなぎが硬くなってしまうのでは」と思われたそうですが、真空調理がうなぎにとっては好条件。真空パックにすることで、タレが中まで浸み込み、余計に軟らかくなるのがうれしい誤算でした。海老名社長の言葉をお借りすると、「うなぎは軟らかいほどおいしい」。お客さまの中には、お店で食べるよりも、真空パックの方を好む方もいらっしゃるほどだそうです。
三島のうなぎ おいしさの秘訣とは
三島うなぎと切っても切り離せないのが、冒頭でご紹介した菰池に見られるような富士山の湧水。三島は住宅地を通る川も透き通っています。昔から「化粧水」といわれるほどの名水である三島の水は、分子が小さく、酸素やミネラルを豊富に含みます。この水を地下40mから汲み上げ、桶に入れたうなぎを4日間絶食させ、水のみにさらすことで、栄養素であるたんぱく質を減らすことなく、余分な脂がとれて、池で食べた苔などの臭みもなくなるのだそうです。
そのような環境や工夫が、「三島のうなぎはおいしい」と言われる由縁。とはいえ、三島でうなぎが食べられるようになったのは明治維新以降のこと。伝説によると、うなぎは三嶋大明神の使者であるため、食べると神罰が当たると言い伝えられ、三島の人々はうなぎを食べなくなったとか。ところが、明治維新の時に薩摩・長州の兵隊たちが三島に宿泊した際、言い伝えを知らずにうなぎを捕まえて食べてしまいます。それを見ていた三島の人々は、後日何の神罰も当たらないのを知り、それ以来うなぎを食べるようになったそうです。
創業40年「うなぎ割烹 御殿川」の由来
江戸時代に三代将軍徳川家光が新築させた三島御殿。その近くを流れていた富士山の雪解け湧水である「御殿川」に由来して、「うなぎ割烹 御殿川」の店名が付けられました。創業から約40年、おいしいうなぎ料理と和食を作り続けています。
350名が収容可能な広々とした純和風な店内には、お座敷とテーブル席が用意されています。入店すると笑顔で出迎えてくださり、取材に伺った平日の昼間には、のれんを掲げる前からお客さんが次々と入って来ていました。また、大小の個室が多数あり、各種宴会料理・法要料理も承っているそうです。
「蒸せば蒸すほどおいしくなる」うなぎ職人の技
うなぎへの情熱あふれる三代目の海老名社長は、取材のためにとお願いすると「俺が焼くんだってよ」とうれしそうな笑顔で厨房に入り、自らうなぎを焼く姿を披露してくださいました。「蒸せば蒸すほどおいしい」と繰り返す海老名社長。うなぎはじっくりと蒸すことで軟らかくなり、ベストな焼き加減は、お箸で触っただけで落ちるぐらい軟らかい状態なのだそうです。ただし、軟らかく蒸すと、串から落とさずにうなぎを何度も返しながら色つや良く焼くのが非常に難しい。これが熟練した職人だけがなせる技でもあり、工場での大量生産との大きな違いでもあると自信を持って続けます。
また、一匹ずつ、状態に合わせて焼き加減を調整するのが、うなぎ職人の腕の見せ所。一年もたたない若い「新仔(しんこ)」の場合は20分、大きく成長して身が引き締まった「ヒネ仔」の場合は40分といったように、皮と身それぞれの焼き時間だけでなく、火の強さまで調整するというので驚きです。
工場での生産が進む現代において、あえてこの職人の腕と感性に掛かっている焼き方へのこだわりを疎かにせず、「職人の感性を繋いでいくことを大事にしている」と海老名社長。日々の努力によって生み出される「ほかのうなぎとの違い」が、うなぎ割烹 御殿川のこだわりであり、今後の展望ともいえるそうです。細かいところまで注意を必要とするこだわりを持った職人魂に、ただただ感嘆するばかりでした。
一番良いものをお届けしたい
海老名社長がうれしかったのは、「うなぎは今まで苦手だったけれど、ここのうなぎは本当においしい」と言ってもらえたこと。リピーターが多いことが誇りとなっています。ネット注文ができる環境であっても、わざわざ電話で連絡をくれる方。毎年同じ時期に同じ宛先でプレゼントの注文をされるお方。「真面目に手を込めて、時間を込めていれば、お客さまが続いてくれる」と海老名社長はおっしゃいます。
また、おいしさ以上に大切にしているのが、食品衛生。うなぎ割烹 御殿川は、静岡県の検査を積極的に受診し、食品衛生基準をクリアしたことを証明する「静岡県ミニHACCP」を連続で取得しています。その他、「三島うなぎ」は三島ブランドとして認定され、「三島ブランド認定証」も掲げています。
会えない方への「おいしいごあいさつ」
今回の商品について、お勧めの利用シーンを尋ねると、家族の記念日や誕生日などのお祝いのほか、お中元・お歳暮・各種返礼として、離れた方へのプレゼントが喜ばれているそうです。海老名社長曰く、ウィズコロナの状況下で会えない方への「おいしいごあいさつ」。ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
実際に私も店内でうな丼付きのランチをいただきましたが、御殿川さんのこだわりを伺った後でいただくうなぎの蒲焼は格別でした。お箸を少し触れただけで身が軟らかくほぐれ、香ばしく焼き上げられたうなぎと甘いタレが絶妙なハーモニーとなって口の中に広がります。この記事を書いている間も、そのおいしさを思い出して、グーっとおなかが鳴ってしまいました。今回の取材を通して、うなぎ職人にとって水は商売の要ということが良く分かりました。富士山の湧水に恵まれた三島ならではの特産物「うなぎの蒲焼」を、ぜひこの機会にご賞味ください。