ビターチョコとルビーチョコをセットに
目を引く鮮やかなパッケージからのぞくチョコレート「Re: You(りゆう)」。割ってしまうのがもったいないほどにかわいいこのチョコレートには、ナッツとドライフルーツが散りばめられています。今回の返礼品は、ビターチョコレート1枚にルビーチョコレート1枚、そしていずれか一方がおまかせでもう1枚入って、3枚セットで届きます。
お馴染みのビターと違い、ルビーチョコレートは10年以上の歳月を経て研究・開発され、2017年に世に出た新しいチョコレートです。ビター、ミルク、ホワイトに続く第4のチョコレートとも呼ばれています。まるでいちごを使ったかのような色とベリーのような酸味が特徴ですが、香料や着色料は一切使われていません。エクアドル、ブラジル、またはコートジボワールで栽培されたカカオ豆の天然成分の効果で華やかなピンク色が生まれるのだそう。
使われないまま廃棄される運命を変える
2種類のチョコに使われているビターチョコレートとルビーチョコレートは、すべて、ベルギー産の上質なクーベルチュール(総カカオ固形分35%以上うちカカオバター31%以上、無脂カカオ固形分2.5%以上を含有する製菓用チョコレート)です。ただ、このチョコには一般に流通している高品質チョコと大きな違いがあります。それは、「Re:You」の原料になったクーベルチュールは、せっかく日本に輸入されたものの、一度もチョコレート菓子やケーキに姿を変えることなく廃棄される運命にあったものだという点です。
トッピングにも製菓材料として余ってしまったものを優先的に使用しています。アーモンド、ピスタチオ、ピーカンナッツ、ヘーゼルナッツなどのナッツ類が香ばしい風味と歯ごたえをプラス。フリーズドライのいちごの酸味はチョコレートの甘味を引き立てます。さらにシリアルのザクザク食感がアクセントになって絶妙のコンビネーションになります。
世の中にはもったいないものがたくさん
この商品を企画したのが、「ロスが減る、笑顔が増える」を合言葉に食品ロス削減に取り組むロスゼロです。代表取締役・文美月(ぶんみつき)さんは、資金も人脈もないところから、ヘアアクセサリー販売累計420万点の通販サイト「リトルムーン」を作り上げた業界では伝説的な人物です。
使われなくなったヘアアクセサリーをラオスやカンボジアに寄贈したり、カンボジアで販売して若者の職業支援に取り組んだりした経験から「世の中にはもったいないものがたくさんある」ことに気付いた文さん。次に目をつけたのが食品ロスの課題でした。
笑顔を生み出すおいしい付加価値
まずは、インターネット通販のノウハウを生かし、余った食品や規格外の食品を生産者や食品メーカーから買い取って消費者に直接つなぐ通販サイトを開設しました。さらに、自社オリジナルのアップサイクル食品として、「Re:You」の開発に着手したのです。
「アップサイクル」とは、捨てられてしまうものにデザインやアイデアによって新たな付加価値を与えること。捨てられてしまうものを再度原料化して利用するリサイクルから一歩踏み込んだプロセスとして、今、注目を集めています。
信頼のベルギー産高級クーベルチュール使用
バレンタイン前などの大きな需要を見込んで仕入れられ、品質に問題がないのに消費者に届くことなく捨てられるクーベルチュール。これを、ロスゼロが輸入業者から買い取り、商品企画とデザインの力で、華やかなチョコレート「Re:You」に変身させたというわけです。
アップサイクルの素材となるクーベルチュールは、ベルギーの老舗ブランドのもの。有名パティシエやショコラティエに信頼される高品質のクーベルチュールとあって、肝心の味や舌触りも、高級チョコレートと比べてもまったく遜色ない仕上がりになっています。
「食べる理由」があるチョコレートを神戸から
仕上げの部分、つまり実際の製造は神戸市内のチョコレートメーカー「マキィズ」が担当しています。「Re:You」の宝石のような美しさに、マキィズの職人が50年以上積み重ねてきたチョコレートづくりの経験が表れています。
「Re:You」という名前にロスゼロが込めたのは「“食べる理由がある”チョコレートだということ」と話すのは、ロスゼロで事業部長を務める前川麻希さん。接頭語「Re」は「再び」を意味し、Reduce(減らす)、Reuse(繰り返し使う)、Recycle(再資源化する)の「3R(スリーアール)」にもある通り、資源の消費を減らして環境負荷を下げる取り組みの鍵となる言葉です。ロスゼロは、このチョコレートを食べる「You(あなた)」一人ひとりの選択が、循環型社会への1歩につながることを目指しています。
手にとって食品ロスを考えるきっかけに
日本でまだ食べられるのに廃棄される食品は年間600万トンを超えています。近年、恵方巻やクリスマスケーキなどの季節イベントに関連した商品が売れ残り、大量に廃棄されることが社会問題になりました。国、事業者、消費者を含む多様な主体が連携してこの課題に取り組むため、2019年に施行されたのが「食品ロス削減推進法」です。コロナ禍の緊急事態宣言下では、行き場を失った未利用食品をどう活用するか、いかに消費者のもとに届けるか模索が続きました。
「かわいい」「おいしそう」と手にとったチョコレートを通じてこうした現状を知るきっかけを提供するために、「Re:You」のパッケージ内側にはアップサイクル・チョコレートのコンセプトがイラスト入りで解説されています。
味が“おいしい”からこその、説得力
前川さんは、「Re:You」を食べる人が家族や友人とチョコレートを囲んで楽しく社会課題を話し合い、考える時間を持ってくれたらと願います。「食品ロスの4割は家庭から発生しています。『Re:You』がものを大切にする心を思い出す機会になればいいなと思うんです」。
それを実現するにはまずはチョコレートがおいしくなければ始まりません。その点に、ロスゼロは絶対の自信を持っています。まずは「Re:You」を手にとって、パキンと割って、口に入れてみてください。こんなにおいしいのに捨てられるなんておかしい。その気付きが変化の糸口になるかもしれません。
近畿支部(兵庫県神戸市担当) / 堀 まどか(ほり まどか)
兵庫県生まれ、在住。街と海と山の近さがお気に入り。通訳案内士(英語ガイド)として、また地域と観光を切り口にしたフォトライターとして西日本のおもしろさを伝えています。さまざまな地域の魅力を再発見する喜びをお宅の玄関先まで届けたい。そんな気持ちでナビゲーターを務めます。
私にとって神戸は海と山が近く、自然豊かなとなり町。海外文化を柔軟に取り入れて発展してきた食や音楽、街並みの魅力も尽きません。