きれいな空気と安心をお届けする「エア・ナヘレ」
ここ数年の暮らしを経て、マスクを着けて生活することにもすっかり慣れてきました。その分、レストランや歯医者、エステに行ったときなど、マスクを外す必要がある場所では多少の不安を覚えてしまうことも。みなさんも、顧客・お店どちらかの立場で「ここに空気清浄機があれば安心できるのに」と思う機会は、少なからずあったのではないでしょうか。
一般的に販売されている空気清浄機は、足元から吸気して上から吐き出すものがほとんど。マスクを外した顔周りの空気を吸い込むものは、意外にも少ないのだとか。今回ご紹介する返礼品「エア・ナヘレ」は、上から吸い込んだ空気に殺菌効果があると言われている紫外線(UV)ライトを照射して送り出す、空気吸入式紫外線照射装置です。
使う人の気持ちを一番に考えた製品
工業都市・大東市にある「精密プレス工業」が造るこの機械には、利用者のことを第一に思う気持ちが詰まっています。なぜ「エア・ナヘレ」を造ることになったのか、その開発秘話や込められた思いについて、代表取締役の橋爪啓二さんにお話を伺いました。
「このコロナ禍において、顔周りの空気を吸って殺菌してくれる装置を求める声は、いろんなところから上がっていたんです」。上から吸気するタイプのものは他社でも販売されていますが、少し値が張るため個人経営のお店では手を出しづらい……という状況だったようです。「それならうちはできるだけ価格を抑えて造ってみよう、ということで開発が始まりました」。
頑丈さとコストパフォーマンスを求めて
精密プレス工業は、ものづくりが盛んな東大阪エリアで、40年以上金属プレス加工業に携わってきた会社です。その技術を生かして造られた「エア・ナヘレ」は、頑丈かつコストパフォーマンスの高い製品に仕上がっています。
「コストを抑えようと思ったら、できることは自社でやるのが一番です。開発期間が長引くとそれもコストになってしまうので、1か月くらいで完成させました。筐体(外側の箱)を造るのは金属プレス加工業としては本分ですし、内部の電気関係の仕組みについても、もともと持っていた技術があります。だから時間も費用も低コストで、スペックを劣らせることなく造ることができたんです」。
小さな町工場だからこそ、挑戦できることもある
「上から吸気する仕組みのものが他に少ないのも、やってみようと思った理由の1つです。求める声が上がっているのに世の中にはあまり行き渡っていないものを、できるだけ低コストで、丈夫に造る。これは大量生産の工場ではなく、うちのように小さな町工場だからこそ挑戦できたことかもしれません」。
空気を吸い込む場所にはファンやモーターが必要で、細長い筐体の上部にそれらがあると、全体の安定性が悪くなってしまいがち。「エア・ナヘレ」の筐体は鉄でできているため、それなりの重量があります。精密プレス工業の得意分野だから鉄で造っているというだけでなく、その重量によって安定感を得ているのですね。お客さまからの「顔周りの空気を吸ってきれいにしてほしい」という声にも応えていて、とても理に適っています。
長く使い続けられるシンプルな構造
「仕組みはとてもシンプルなんですよ。空気を吸い込んで紫外線ライトを照射し、きれいになった空気を排出する、この繰り返しです。シンプルだから部品もそれほど多くなくて、丈夫で壊れにくくなっています」。丈夫なおかげで長く使い続けられるため、買い替えのコスト削減にもつながります。
また、長く使っていくにあたって、お手入れがしやすいのも「エア・ナヘレ」のいいところです。フィルターを使わない構造なので、フィルター交換の費用や手間もかかりません。紫外線ライトは交換が必要ですが、1年に1回程度、かつ利用者自身で交換ができるくらい手順も簡単です。「使ってくださるお客様のことを第一に考えて、ご自身でメンテナンスができるような作りにしよう、というのは意識していました」。
利用者からは「安心できる」と喜びの声が
精密プレス工業が自社で開発した製品は他にもありますが、個人のお客さまでも使えるものとしては「エア・ナヘレ」が初めて。現在は個人で経営されているエステサロンや食堂などで利用されており、「顔周りの空気を吸い込んできれいにしてくれるので、安心できる」と喜びの声が上がっています。
お客さまの声から始まり、その声に精密プレス工業ならではの技術で応えた「エア・ナヘレ」。この装置はきれいな空気だけでなく、利用する方への安心感も一緒にお届けしているのです。
お客さまからの相談に、蓄積されてきた技術で応える
精密プレス工業では、「エア・ナヘレ」以外にもさまざまな製品を造っています。その製品たちも、「こういうのが欲しいけど、自分たちでは造れない……」というお客さまの声から始まることが多かったのだそう。
「ここに相談すれば何とかなるかも、と思ってもらえているようで、いろんなところからご相談をいただくことがあるんです。その声に応えていくことで、私たちとしても技術の蓄積や向上につながっていって、より良い製品を造れるようになる。この循環ができているのはとてもありがたいと感じています」。
日本の工場は、ここからまた盛り上がっていく
大東市には、あたりを見渡せば必ず視界のどこかに工場が入る、と言っても過言ではないくらい、至るところに町工場があります。精密プレス工業にとって大東市はどんなところかと訊ねてみると、「仕事がやりやすいところ」。同業者はもちろん外注先も近くにあり、工場を営む上で欠かせない部品の調達やメンテナンスもスムーズに行えるのだとか。
ただ、一番の盛り上がりを見せていた時期から比べれば、工場の数は半分くらいに減ったのだといいます。「海外に発注するところが増えたからでしょうね。でも最近、コロナ禍でサプライチェーンが混乱したこともあり、海外に発注するメリットは薄れてきています。ここからまた日本の工場が盛り上がっていくと嬉しいですね」。
丁寧に、長く続けていくものづくりの仕事
「うちは大量生産の工場ではありませんが、その分1つ1つ丁寧に造っています。そういう小さい工場の強みを生かして、今後も長く続けていきたいですね。何事も継続することが一番大変であり、大切だと思っています」。
精密プレス工業が大東市で培ってきた、ものづくりの技術と利用者目線のやさしい思い。それは「エア・ナヘレ」の頑丈で長く使い続けられる作りからも、確かに伝わってきます。この思いはきっとこれからも末永く、丁寧に紡がれ続けていくことでしょう。
近畿支部(大阪府大東市担当) / 鶴留 彩花(つるどめ あやか)
兵庫県加西市在住。奈良県の盆地で育ち、大阪や神奈川でも暮らしてきました。持ち前の行動力とリサーチ力を生かし、ライター・カメラマンとして活動中。おいしいもの・すてきなこととの出会いを日々追い求め、その魅力を発信しながら“トカイナカ”と言われる加西でのんびり楽しく暮らしています。
大東市は大阪を代表する工業都市で、町工場のエネルギーにあふれています。大阪都心部にも生駒山系の山間地にも近く、都会と田舎の“ええとこどり”ができる住みよいまちです。