あきた舞妓に会う | 秋田県秋田市 の旅行レポート

東北三大祭りの一つ、秋田竿燈まつりで名高い秋田市。
市随一の繁華街・川反(かわばた)には、かつて「川反芸者」とよばれる芸者衆がいました。
昭和後期からその文化は廃れましたが、近年、会える秋田美人「あきた舞妓」として復活。
老舗料亭を改装した劇場や酒房を訪れ、秋田の魅力満載のあでやかな別世界に浸りました。

あきた舞妓に会う | 秋田県秋田市 の旅行レポート

東北三大祭りの一つ、秋田竿燈まつりで名高い秋田市。市随一の繁華街・川反(かわばた)には、かつて「川反芸者」とよばれる芸者衆がいました。昭和後期からその文化は廃れましたが、近年、会える秋田美人「あきた舞妓」として復活。老舗料亭を改装した劇場や酒房を訪れ、秋田の魅力満載のあでやかな別世界に浸りました。

光の稲穂が一面に広がる壮観な夏の風物詩

光の稲穂が一面に広がる壮観な夏の風物詩

 約270年の歴史を持つ伝統行事で、毎夏100万人超の来場者で賑わう秋田竿燈まつり。秋田に来たならその祭りの魅力にふれてみたいと、まずは「秋田市民俗芸能伝承館(ねぶり流し館)」を訪ねました。
 天井高12mの室内に大小さまざまな竿燈を展示するこちらの施設では、定期的に実演を開催。竿燈体験もできます。持ってみると意外と重く、目線一つでぐらつき、思わず「無理」を連呼。館長の小野智さんから「外では風もあり、もっと揺れます」と説明を受け、華麗な技は練習の成果と実感しました。
 祭り本番は全ての竿燈が一斉に立ち上がり、熱狂的にスタート。お囃子や掛け声が響き「写真に収まり切らない迫力があります」と小野さん。昼間は技を競う「妙技会」もあるそうです。体験し、知るほどに、祭り本番が見たくなりました。

〈左〉秋田竿燈まつりは毎年8月3~6日に開催。稲穂に見立てた約280本の竿燈、約1万個の提灯の明かりが揺れる光景は圧巻 〈右〉秋田市民俗芸能伝承館の実演は4~10月の土・日曜、祝日に開催。腰に乗せる大技「腰」など5つの技を披露


会える秋田美人「あきた舞妓」が旧料亭でおもてなし

会える秋田美人「あきた舞妓」が旧料亭でおもてなし

 ねぶり流し館から歩いて10分、秋田藩主佐竹氏の居城跡・千秋公園へ。全体が日本庭園のような歴史と風情あふれる園内に、川反芸者の文化を継承する「あきた舞妓」に会える「あきた文化産業施設 松下」があります。
 大正時代に創業した料亭「松下」を改修し、2016年にオープン。往時の趣と現代のセンスが融合し、日常を離れた特別感が漂います。のれんをくぐると、舞妓事業会社「せん」の企画・広報の松岡叡美さんが案内してくれました。
 館内の一角には「松下」の看板のほか、秋田市在住の油谷滿夫さんによる収集品で、明治から昭和の時代のポスターやかんざしなどが展示されています。テーマは川反の芸者文化の中から生まれた言葉といわれる「秋田美人」です。

〈上〉劇場や酒房、茶寮を備えたあきた舞妓の拠点「あきた文化産業施設 松下」 〈左下〉旧料亭「松下」の看板や舞妓に関する展示。古民具を収集した「油谷これくしょん」のアイテムも 〈右下〉「一見さん大歓迎。気軽にお座敷文化を楽しんでほしい」と松岡叡美さん

 廊下の壁両側には、昭和30年代の秋田市内の写真や川反芸者の肖像写真がずらりと並びます。芸者の人気投票「麗人東北投票」について掲載した1951年の「たばこ新聞」も展示。たばこを1箱買うと投票券が1枚もらえたそうで、現代のアイドルと同じだと親近感が湧きます。
 2階の劇場は、戦後に増築した約80畳の大広間。希少な一枚板の天井は昔のままで、ぶら下がりの明かりで、美しい木目が際立ちます。ここで2018年から始めたのが、土曜公演「あきた舞妓劇場」です。公演では、歴史ある川反芸者を新たな形で復活させた「あきた舞妓」が、秋田民謡や川反芸者の踊りを季節に応じて披露。秋田名物があしらわれた「千社札(せんじゃふだ)」を渡し、あいさつ回りをします。縁起物と聞いて、早速財布に貼りました。

〈左上〉川反芸者のブロマイドは当時1枚55円(映画3本立てと同額)だった。「岩田写真」所蔵 〈左下〉あきた舞妓劇場は土曜開催。開催有無は事前に確認を 〈右〉日本舞踊や秋田民謡、川反に伝わるお座敷ものの踊りを稽古しているあきた舞妓が、季節に合う踊りを披露

 「あきた舞妓」は現在3名が在籍。幼少期から川反で舞妓・芸者を務め、現在は秋田川反芸妓連顧問の若勇さん、東京で芸者を務め、秋田にUターンした染龍さんという2人の芸者の背中を追い、さまざまな稽古に励んでいます。
 「『秋田美人』の名に恥じぬよう、お支度に気を付けています」と、柔らかな語り口の紫乃さんは2016年にデビュー。1年後輩の佳乃藤さん共々、白塗りでもわかる美肌です。お座敷では楽しい思い出になるよう、加減しながら秋田弁を使うそう。例えば「しったげ んめなぁ(すごくおいしい)」と佳乃藤さん。愛らしい方言に頰が緩みます。
 あきた舞妓には、併設されている酒房でも土曜に1時間だけ会うことができます。秋田杉の香りと秋田の日本酒、舞妓のおもてなしに彩られ、忘れられないひとときになりそうです。

 秋田市ならではの旅の思い出に、ぜひ劇場に足を運んでみませんか。きっとお土産話で「秋田美人に会ってきたよ」と自慢したくなるはずです。
(2019年3月)

〈上〉紫乃さん(右)は日舞やお茶の稽古で身に付いた所作を家族に褒められることがあるという。民謡が得意な佳乃藤さん(左)は「舞妓の仕事は毎日発見の連続」と話す 〈左下〉帯の結び目に挿した扇子は武士の刀と同じで、常に身に付けるものだそう 〈右下〉酒房は秋田杉に囲まれ、靴を脱ぐ立ち呑みスタイル

「秋田」と「手作り」を大切に 愛される秋田銘菓の老舗

「秋田」と「手作り」を大切に 愛される秋田銘菓の老舗

秋田土産の定番、山ブドウ果汁を寒天で固めた「さなづら」で知られる「菓子舗榮太楼」は明治16年(1883)創業。秋田の伝統や素材、職人の技を生かし、愛される和洋菓子を次々と生み出しています。大人気の「桜咲くさくらゼリー」は「FOODEX JAPAN 2017」にて「ご当地お菓子グランプリ」最高金賞を受賞。なまはげがモチーフの「赤まん・青まん」も注目です。

大町店はカフェとして利用できる「コミュニティスペースEN」や、2階に「東海林太郎音楽館」「大鵬ギャラリー」も併設

桜咲くさくらゼリー300円は12~6月頃まで販売。黒糖入りの赤まん、山芋入りの青まんは各120円

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SPOT LIST

秋田市民俗芸能伝承館(ねぶり流し館)(あきたしみんぞくげいのうでんしょうかん(ねぶりながしかん))

【電】018-866-7091【住】秋田県秋田市大町1-3-30【交】JR秋田駅から徒歩15分【料】観覧100円【時】9時30分~16時30分(竿燈実演:4~10月の土・日曜、祝日13時30分~14時10分)【休】無休【P】7台

あきた文化産業施設 松下(あきたぶんかさんぎょうしせつ まつした)

【電】018-827-3241【住】秋田県秋田市千秋公園1-3【交】JR秋田駅から徒歩10分【休】月曜【P】なし
※あきた舞妓劇場は土曜開催【料】昼の部弁当付き4000円(要予約)、昼下がりの部お茶会付き2000円(当日2200円)【時】昼の部12時~、昼下がりの部15時~。土曜以外は10名以上の団体貸切のみ受付
※あきた舞妓酒房は【料】入場2000円【時】土曜16時30分~17時30分

菓子舗榮太楼 大町店(かしほえいたろう おおまちてん)

【電】018-823-5138【住】秋田県秋田市大町2-1-11【交】JR秋田駅から徒歩15分【時】9~18時【休】日・月曜、祝日【P】5台

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