風光明媚な中禅寺湖を一望!大使が愛した湖畔の風景 栃木県日光市

世界遺産の日光東照宮や鬼怒川温泉など、有名な観光スポットを数多く有する日光市。
なかでも今回は、明治時代の中頃から昭和初期にかけて、各国の大使館をはじめとする
多くの外国人別荘が建てられ、国際避暑地として賑わった「中禅寺湖」の周辺に注目。
外国人たちを魅了した湖畔の美を愛でに、現在は一般公開されている2棟の別荘を訪ねました。

世界遺産・国宝にも指定琉球王国の陵墓 栃木県日光市

世界遺産の日光東照宮や鬼怒川温泉など、有名な観光スポットを数多く有する日光市。なかでも今回は、明治時代の中頃から昭和初期にかけて、各国の大使館をはじめとする多くの外国人別荘が建てられ、国際避暑地として賑わった「中禅寺湖」の周辺に注目。外国人たちを魅了した湖畔の美を愛でに、現在は一般公開されている2棟の別荘を訪ねました。

日光を代表する勇壮な滝と湖

日光を代表する勇壮な滝と湖

 まずは、日光の豊かな自然を代表する「華厳ノ滝」の迫力を間近に感じようと、観瀑台へ。観瀑台は滝の上下にありますが、特に滝壺近くの観瀑台では、豪快な轟音と水しぶきに心が洗われるような気がしました。滝の景観を楽しむなら、第2いろは坂をのぼりきった明智平からロープウェーで行ける展望台もおすすめです。ここからは、華厳の滝とともに、男体山や中禅寺湖のダイナミックなパノラマが楽しめます。
 この華厳の滝に水を与えているのが、奥日光の入口に位置する「中禅寺湖」です。男体山のふもとに周囲約25kmにわたって広がる中禅寺湖は、約2万年前の男体山の噴火によって誕生したとか。「船の駅中禅寺」から発着する遊覧船で湖上をクルージングすると、湖畔には点々と別荘が。こんな場所で夏を過ごしたらさぞや気持ちがいいだろうと、羨ましくなりました。

〈上〉落差97mの華厳ノ滝は、和歌山県の那智ノ滝、茨城県の袋田ノ滝と並び、日本三大名瀑の一つ 〈左下〉滝壺の観瀑台では下から滝を見上げることができる 〈右下〉戦前、中禅寺湖畔には各国の大使館や外国人の別荘が40以上もあり「夏は外務省が日光に移る」とまで言われたという


歴代イタリア大使の暮らしを再現

歴代イタリア大使の暮らしを再現

 中禅寺湖畔の歌ヶ浜駐車場から湖畔沿いを15分ほど歩くと、かつて外国の大使が避暑をかねて滞在した2棟の建物が見えてきます。奥に立つ木造建築が昭和3年(1928)に建てられ、平成9年(1997)まで歴代の大使に使用されたイタリア大使館の別荘で、現在は「イタリア大使別荘記念公園」として一般公開されています。当時の建材や家具を再利用して復元された内外の壁面に見られる、日光杉の樹皮が醸し出すモザイク模様の美しさが印象的です。
 内部の1階は、暖炉を備えた食堂、リビング、書斎からなる広大なワンルーム。大使が使用したデスクやダイニングテーブルが展示されており、優雅な時間が流れていた往時をしのばせます。窓際に設けられた広縁からは、中禅寺湖を間近に一望でき、その絶景に思わずため息がもれてしまいました。寝室などがある2階は、どの部屋からであっても湖が見える設計です。

〈上〉壁から天井まですべて杉皮張りのモザイク模様で装飾された室内 〈左下〉設計者はチェコ出身の著名な建築家で、帝国ホテルの設計も手がけたアントニン・レーモンド。地元の素材を利用することにこだわった 〈右下〉食堂には、大使の使用した食器が現在も並ぶ

 この別荘からは、中禅寺湖越しに、真正面にそびえる奥白根山を筆頭とする日光連山が望めます。「この景観、イタリア北部のコモ湖とそっくりだそうですよ。わざわざそのような場所を選んで建てたんでしょうね」と教えてくれたのは、案内を務めてくれた田中勇さん。コモ湖畔といえば、イタリアを代表する景勝地の一つ。中禅寺湖の景観は、祖国を離れた大使たちの心を慰めたことでしょう。「つい先日も、かつてここで暮らした大使ご夫妻がいらっしゃって、とても懐かしそうにくつろいでいらっしゃいました」と、田中さんが付け加えます。
 1階にあるかつてのゲストルームは、現在はささやかなカフェコーナーになっています。湖を眺めながらカフェタイムを過ごしたあと、広縁のソファに座り、刻々と変化する水面の景観を眺めつつ、読書をしながら過ごしてみたい…。そんな印象を強く抱かせる空間でした。

〈上〉広縁の先に広がる中禅寺湖では、各国大使たちによるヨットレースが毎週のように行われていたという 〈左下〉船舶用のランプ照明もレーモンドのこだわり 〈中央下〉ゲストルームを改装した「Caffe Como」ではクッキーやコーヒーを楽しめる 〈右下〉2階の「大使の間」は大使夫妻の寝室として使われていた


英国人外交官が心を和ませた別荘

英国人外交官が心を和ませた別荘

 イタリア大使館別荘のほど近くにある「英国大使館別荘記念公園」には、かつての英国大使館別荘が立っています。もともとは、明治29年(1896)に、英国人アーネスト・サトウの山荘として建てられたもの。幕末から明治維新にかけての激動の日本で駐日公使や通訳を務めたサトウは、奥日光の景観をこよなく愛したといわれます。なかでも彼が著したガイドブックの『日光案内』は、日光の魅力を世界に広く知らしめたほど。
 当時の生活空間がしのばれる古民家風のイタリア大使館別荘とは異なり、こちらはサトウの生涯や英国文化、奥日光の歴史などを教える、おしゃれな資料館といった趣。石積みの三段テラスの上に立つため、館内から外を望むと、まるで建物が湖面の上に立っているかのような錯覚を覚えます。なかでも1階、2階ともに大きく開かれた広縁から望む中禅寺湖は圧倒的なスケールです。

〈上〉1階広縁には陽光が盛大に差し込み風が吹き抜ける 〈左下〉英国大使愛用のデスクが置かれた展示室ではサトウの生涯を紹介 〈右下〉建物はベランダコロニアル様式と、明治期の和風住宅の意匠を融合させた和洋折衷住宅

 白を基調とした明るい館内は、1階ではサトウの愛用した机やその功績を示すパネルが展示され、サトウの人となりと、奥日光がどのように避暑地として発展していったのかを教えてくれます。2階では、サトウが生きた時代の英国のビクトリア朝時代の文化を知ることができます。
 そして、この英国大使館別荘で特に人気なのが、2階に併設された喫茶室の「Tea Room 南4番 Classic」。金谷ホテルの運営で、本場英国の味が楽しめるこちらの喫茶のメインメニューは、栃木県産の小麦「ゆめかおり」と那須の牛乳を使用したスコーン。伝統的なレシピと地元の材料で作られ、英国大使館のお墨付きという本格派です。英国の高級茶葉「NEWBY」の紅茶とともに味わえば、至福のティータイムが楽しめます。週末ともなれば、オープンとともに行列ができるほどの人気ぶりです。

 中禅寺湖畔には湖を望みながら憩えるスポットは数多くありますが、車の音も届かないほど静かな場所にたたずむ2つの別荘は、趣は異なれど、いずれも至福の時間を過ごすのにうってつけ。時間を忘れて静寂に身を委ねることができる、隠れ家のような絶景スポットです。
(2019年5月)

〈上〉駐日英国大使オリジナルスコーン1080円は、プレーンと木の実のスコーンに、栃木県産ジャムとクロテッドクリームがつく。紅茶セット1500円は、イングリッシュブレックファースト、ダージリン、アールグレーから紅茶をチョイスできる 〈左下〉喫茶室からも中禅寺湖を一望できる 〈右下〉「スコーンにはパサパサしたイメージがありますが、このスコーンはもっちりした食感が特徴です」と、喫茶室の小堀奏美さん

冷凍パンセット

冷凍パンセット

明治6年(1873)に開業した日光の金谷ホテルは、日光のみならず日本を代表する老舗ホテル。なかでも、このホテルで「パンの神様」とよばれたパン職人、川津勝利親方のレシピを脈々と守り続けるパンは、多くの宿泊客に愛されてきました。その伝統を受け継ぐのが、金谷ホテルベーカリーの冷凍パンセット。焼きたてパンのおいしさをご家庭で手軽に味わっていただきたいとの思いから生まれました。鮮度とおいしさが封じ込められた逸品です。
※掲載の「お礼の品」は品切れや季節の都合で受付を終了・中止していることがあります。

セット内容はロイヤルブレッド、チーズロード、抹茶大納言と金谷ホテルマーガリン

SPOT LIST

華厳ノ滝(けごんのたき)

【電】0288-55-0030(華厳ノ滝エレベーター営業所)【住】日光市中宮祠2479-2【交】JR・東武日光駅から車で約30分【料】エレベーター往復550円【時】8~17時(季節により異なる)【休】無休【P】200台(県営駐車場)

中禅寺湖クルージング(ちゅうぜんじこくるーじんぐ)

【電】0288-55-0360【住】日光市中宮祠2478(船の駅中禅寺)【交】JR・東武日光駅から車で約30分【料】運賃600円~【時】船の駅中禅寺始発9時30分~15時30分(期間により異なる)【休】12月1日~4月第2金曜、6月18日【P】276台(県営湖畔駐車場)

イタリア大使別荘記念公園(いたりあたいしべっそうきねんこうえん)

【電】0288-55-0880(日光自然博物館)【住】日光市中宮祠2482【交】JR・東武日光駅から車で約35分【料】200円(英国大使館別荘記念公園との共通観覧券300円)【時】9~17時(11月11日~30日は~16時、Caffe Comoは5月~11月10日は9時30分~16時、4月、11月11日~30日は~15時)【休】11月の月曜日(祝日の場合翌日)【P】135台(県営歌ヶ浜駐車場)

英国大使別荘記念公園(えいこくたいしべっそうきねんこうえん)

【電】0288-55-0880(日光自然博物館)【住】日光市中宮祠2482【交】JR・東武日光駅から車で約35分【料】200円(イタリア大使館別荘記念公園との共通観覧券300円)【時】9~17時(11月11日~30日は~16時、Tea Room 南4番 Classicは5月11日~11月10日は10時~16時30分LO、4月、11月11日~30日は~15時30分LO)【休】11月の月曜日(祝日の場合翌日)【P】135台(県営歌ヶ浜駐車場)

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