伊予の小京都にたたずむ世界に誇る和の建築  愛媛県大洲市

清流、肱川沿いに広がる愛媛県大洲市は、小高い丘に立つ大洲城を中心に栄えてきた城下町。
昔ながらのどこか懐かしい町並みが見られ、「伊予の小京都」ともいわれています。
今回は、名建築として世界的にも高い評価を受けている山荘庭園「臥龍山荘」を訪ね、
世界に誇る「侘び」の世界や随所に光る匠の技を堪能しました。

伊予の小京都にたたずむ世界に誇る和の建築  愛媛県大洲市

清流、肱川沿いに広がる愛媛県大洲市は、小高い丘に立つ大洲城を中心に栄えてきた城下町。昔ながらのどこか懐かしい町並みが見られ、「伊予の小京都」ともいわれています。今回は、名建築として世界的にも高い評価を受けている山荘庭園「臥龍山荘」を訪ね、世界に誇る「侘び」の世界や随所に光る匠の技を堪能しました。

城下町のレトロな雰囲気が魅力の大洲市

城下町のレトロな雰囲気が魅力の大洲市

 まず訪れたのは、市のシンボルである「大洲城」。築城の歴史は鎌倉時代末期にまで遡り、戦国~江戸時代に藤堂高虎などが城郭を整備しました。天守は明治時代に取り壊されましたが、江戸期の木組模型や古い写真をもとに、平成16年(2004)に伝統工法により復元されました。4層4階の構造で、1、2階は他の城では見られない珍しい吹き抜け。迫力ある木組みが間近に見られ、城郭ファンならずとも、一見の価値が大いにありです。
 大洲城から15分ほど歩いた場所にある「おはなはん通り」も有名です。昭和41年(1966)に人気を博したNHK 連続テレビ小説『おはなはん』のロケ地になったことから名付けられたこの通りには、江戸時代の家並みや明治の風情が残っています。タイムスリップ気分でゆっくり散策しながら、通りからほど近い場所にある「臥龍山荘」へ向かいました。

〈上〉満開の桜に彩られる大洲城。国の重要文化財に指定された4棟の櫓も見もの 〈左下〉吹き抜けになっていることから木組みなどの内部構造がわかりやすいと、海外からの観光客にも好評 〈右下〉なまこ壁や腰板張りの屋敷が続く「おはなはん通り」


匠の技が随所に光る 和の伝統美あふれる世界

匠の技が随所に光る 和の伝統美あふれる世界

 「臥龍山荘」は大洲出身の貿易商、河内寅次郎が明治30年(1897)頃から10年余りかけて建てた別荘です。昭和55年(1980)に一般公開が始まるとその美しさが国内外から脚光を浴び、観光スポットを星付きで評価するフランスの旅行ガイドブック『ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン』では一つ星に選ばれました。
 緑に包まれた敷地には3つの建物があり、まずは寅次郎が最も情熱を注いだとされる母屋「臥龍院」へ。最初に驚かされたのは「清吹(せいすい)の間」。桜と筏(いかだ)の透かし彫りの欄間をはじめ、水にちなんだ精緻な細工が部屋の四方に施され、四季が見事に表現されています。こうした細やかな日本情緒が、海外にも高く評価されているのでしょう。
 「清吹の間」から続く「壱是(いっし)の間」は、格調高い書院の座敷。注目は縁側で、何と柱が1本もありません。ここから見る借景の邪魔にならないようにという、実に細やかな配慮がなされています。

〈上〉木造茅葺寄棟造りの母屋「臥龍院」。茶室の「不老庵」、「臥龍院」に付随する「文庫」とともに国の重要文化財に指定されている 〈左下〉「清吹の間」でひと際目立つ、透かし彫りの涼しげな欄間 〈右下〉畳を上げれば能舞台になる「壱是の間」

 「臥龍院」で最後に足を踏み入れたのは「霞月(かげつ)の間」。これまでの明るい雰囲気の部屋とは異なり、暗い色調で統一されています。しかも、壁にはなぜか塗り残されている部分が。もちろん、これらはすべて計算し尽くされた表現。あえて荒れた農家のような風情を打ち出すことにより、「侘び」を感じさせる趣向なのです。
 「臥龍山荘の建物はすべて、細かいところまでじつによく考え抜かれて、すごく手の込んだ造りになっています。ぜひ、ゆっくり時間をかけて見ていただきたいですね」と話すのは、今回案内してくれた支配人の笹山久子さん。

〈上〉「侘び」を表現する「霞月の間」。和紙の天井、霞に見立てた違い棚など、みどころ豊富 〈左下〉素朴な茶室「知止庵」。浴室として建てられ、のちに茶室に改造された 〈右下〉「縁側にただ座って、ゆっくり過ごすのもいいですよ」と話す笹山さん

 「臥龍院」から別の建物へは、自然を活かした見事な借景庭園を進みます。苔のなかに配置されているさまざまな形の敷石や石積みからも趣が感じられました。庭園の脇には「知止庵(ちしあん)」という、3坪の小さな茶室もあります。
 庭園の先で待っていたのは、数寄屋造りの茶室「不老庵」。美しい青緑色の臥龍淵にせり出すように立っており、眺めは最高です。建物を船に見立てた設計とのことで、天井が船底のように弧を描いている趣向にも目を奪われました。

 素晴らしい和の建築と意匠、庭園に出合える臥龍山荘。今度は紅葉が素晴らしいという秋に訪ねてみたいと思いました。 (2019年4月)

〈上〉臥龍山荘のなかでも、特に絶景が楽しめる「不老庵」 〈左下〉吸い込まれそうな青色をした「臥龍の淵」を眼下に望む 〈右下〉竹で丁寧に編んだ天井など、「不老庵」もこだわり満載

Jewel Confit Blueberry Aセット (ジュエルコンフィ ブルーベリー Aセット)

Jewel Confit Blueberry Aセット (ジュエルコンフィ ブルーベリー Aセット)

愛媛県の果物といえば柑橘類が有名ですが、大洲市ではブルーベリーも人気の高い特産品。盆地特有の寒暖差の大きな気候が、強い風味と甘みのある果実を育てます。このコンフィは、鮮度落ちが速くて流通には回せない完熟果実を中心に、酸味のあるものも適量加えて、最も良いバランスに調整したもの。「ブルーベリーの自然な味わいが出るように工夫しました。コンフィならではの粒々感も気に入っていただけると思います」と生産者「大野農園」の大野元生さん。注文が入ってからの受注生産というプレミアムな逸品です。
※掲載の「お礼の品」は品切れや季節の都合で受付を終了・中止していることがあります。

〈左〉砂糖を控えた、すっきりした味わいが大好評 〈右〉園地は2018年7月の西日本豪雨で冠水したが、丹精込めた手入れにより可憐な花が開花

SPOT LIST

大洲城(おおずじょう)

【電】0893-24-1146(大洲城管理事務所)【住】愛媛県大洲市大洲903【交】大洲自動車道肱南ICから車で5分【料】観覧500円(臥龍山荘との共通観覧料800円)【時】9~17時(最終入場16時30分)【休】無休【P】観光駐車場45台利用(無料)

おはなはん通り(おはなはんどおり)

【電】0893-57-6655(大洲観光総合案内所)【住】愛媛県大洲市大洲【交】大洲自動車道肱南ICから車で3分【料】【時】【休】散策自由【P】大洲まちの駅あさもや駐車場43台利用(無料)

臥龍山荘(がりゅうさんそう)

【電】0893-24-3759【住】大洲市大洲411-2【交】大洲自動車道肱南ICから車で3分【料】観覧500円(大洲城との共通観覧料800円)【時】9~17時(最終入場16時30分)【休】無休【P】大洲まちの駅あさもや駐車場43台利用(無料)

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