大分県南東部に位置する佐伯市は、江戸時代の藩財政を漁業が支えていたことから
「佐伯の殿様、浦でもつ」という言葉が生まれたほどの漁師町。
現在も市内には、海の幸を生かした寿司などのグルメが充実しています。
今回は、週末に長蛇の列ができると噂の、コスパ抜群の海鮮丼の名店をご紹介します。
大分県南東部に位置する佐伯市は、江戸時代の藩財政を漁業が支えていたことから「佐伯の殿様、浦でもつ」という言葉が生まれたほどの漁師町。現在も市内には、海の幸を生かした寿司などのグルメが充実しています。今回は、週末に長蛇の列ができると噂の、コスパ抜群の海鮮丼の名店をご紹介します。
佐伯市は、面積903.11㎢と九州で一番広い面積を持つ市。海にも広く面しており、リアス式海岸の続く海岸部では豊後水道の恵みを生かした水産業(漁業)が昔から盛ん。おいしい海の幸を求めて、九州各地から多くの人が訪れます。
市街地は、佐伯藩主・毛利高政が慶長7年(1602)から築いた「佐伯城」を中心に栄えてきた城下町。今も武家屋敷の白壁土塀などが連なり、佐伯城の城郭建築物として唯一現存する三の丸櫓門から、毛利家の菩提寺・養賢寺(ようけんじ)までの約700mは「歴史と文学のみち」として整備されています。
〈上〉日本の道100選にも選定されている「歴史と文学のみち」。桜の名所としても知られる 〈左下〉寛永14年(1637)築と伝わる佐伯城の三の丸櫓門。佐伯城の天守は火災により消失しているが、石垣などで当時の様子を伺うことができる 〈中央下・右下〉明治時代の文豪・国木田独歩が下宿した家を公開している「城下町佐伯 国木田独歩館」。「歴史と文学のみち」沿いにある
佐伯市の中心部から、国道217号の海沿いの道を車で約20分ほど行けば、今回の目的地である「塩湯」に到着です。こちらは地元の漁師が直営する食事処で、週末のお昼時には海鮮丼目当ての客が長蛇の列をなすほど。店名に「湯」が付く通り、温浴施設も併設されています。
店に入り、最初に目を引くのが、入り口そばにどっしりと据えられた大小の生簀。アジやブリをはじめとした新鮮な魚が悠々と泳ぐほか、佐伯の特産品として知られるカラフルなヒオウギ貝など多種多様な魚介類が揃います。「生簀に入っているのは、すべて今朝、水揚げされたものばかりです」とスタッフの濵田美緒さん。新鮮なはずです。
〈左上〉昭和のホウロウ看板が掲げられ、レトロな雰囲気 〈左下〉店の入り口そばにある生簀。生簀は店内外にいくつも設けられている 〈右〉生簀のカゴを引き上げながら今日のおすすめを教えてくれる濵田さん
お待ちかねの海鮮丼は、噂に違わぬボリューム。取材した日は、ブリ、タイ、タチウオ、キビナゴ、コウイカ、車エビ、ウニなどがご飯の上を埋め尽くしています。取材だからということは決してなく、旬の魚介を用いるゆえ種類は変われども、だいたいこのぐらいの量は使うそう。
「注文が入ってから捌くので、お待ちいただくことが多いです。単品の料理をつまみながら、気長に待っていただけるとありがたいです」と濵田さん。海鮮丼以外のおすすめは、カキやアワビ、サザエ、自家製干物などをコンロで炙って味わう「焼物セット」1980円(税別)。いずれのメニューも「魚介類をもっと好きになってもらいたい」との思いで提供されているため、ボリュームの割には手頃な価格となっています。
〈上〉海鮮丼1200円(税別)。このままでは少し食べにくいので、ネタを取り置く皿も出してくれる 〈左下〉佐伯自慢のヒオウギ貝。ホタテ貝を少しさっぱりさせたような味わい 〈右下〉塩湯の隠れた名物・塩ソフト300円もぜひ
最後に店名の元となっている温浴施設・塩湯へ。こちらの湯は温泉ではなく、目の前の海からくみ上げた海水をろ過して沸かしたものだそうです。入浴したのですが、海水を沸かしただけでこんなに良い湯になるなんて!と驚きました。
取材は厳冬期だったので、湯冷めして風邪をひいたら困るなぁと思ったのですが、帰路もしばらくの間ぽかぽか。翌日のお肌もしっとりしており、いわばタラソテラピー(海洋療法)の様な効果があったのかもしれません。浴場でご一緒した常連さんも「夏の前に入るとあせもが、冬の前に入ると肌のカサカサがやわらぐので年に数回来ます」と言われていました。効果に個人差はあるでしょうが、一度試していただきたいお湯です。
風情ある城下町と、新鮮な魚介類で作るボリューム満点の海鮮丼、そしてリピーターの多い海水風呂と、訪れる人を魅了するスポットの多い佐伯市。シーサイドドライブがてらに出かけてみませんか。
(2019年2月)
〈上〉家族湯「たるの湯」。大人3名がゆったり入れるほどの広さがある 〈左下〉大浴場。海水を沸かした湯は、保湿・保温効果が高いとされる 〈右下〉塩湯は男女別浴場と家族湯4室からなり、大浴場にはサウナが付く
ごまだしは、焼いた地魚の身をほぐし、ゴマや醤油等を加えてすり潰した佐伯市の伝統的な調味料。茹でたうどんとごまだしを器に入れ、熱湯を注いで味わうごまだしうどんが定番の食べ方ですが、青菜を和えたり、チャーハンやちゃんぽんの味付けにと様々に使える優れもの。なかでも「ひもの屋 ヤマジン」のごまだしは、中骨ごとすり潰しているためカルシウムもしっかり摂れると評判です。
ヤマジンではごまだし500円のほか、天日塩を使い旨みを引き出した、産地ならではの作り立ての干物なども手頃な価格で販売
佐伯城跡(さいきじょうあと)
【電】0972-22-0700(佐伯市歴史資料館)【住】大分県佐伯市大手町1-1-1【交】東九州自動車道佐伯ICから車で9分【料】【時】【休】見学自由【P】文化会館下駐車場170台
城下町佐伯 国木田独歩館(じょうかまちさいき くにきだどっぽかん)
【電】0972-22-2866【住】大分県佐伯市城下東町9-37【交】東九州自動車道佐伯ICから車で10分【料】入館200円【時】9〜17時(入館は~16時30分)【休】月曜(祝日の場合は翌日)、12月29日〜1月3日【P】佐伯市城下町観光交流館駐車場11台
塩湯(しおゆ)
【電】0972-27-8309【住】大分県佐伯市上浦浅海井浦2920-3【交】東九州自動車道佐伯ICから車で20分【料】男女別浴場500円、家族風呂大人3名まで1時間1500円(土・日曜、祝日1800円)【時】食事処11時~20時30分LO、立ち寄り湯10~23時【休】水曜【P】15台
ひもの屋 ヤマジン(ひものや やまじん)
【電】0972-22-4266【住】大分県佐伯市西浜3-8【交】東九州自動車道佐伯ICから車で15分【時】8〜17時【休】日曜【P】10台