兵庫県の北部に位置する豊岡市は、
全国的にも有名な温泉地・城崎温泉や但馬の小京都とよばれる出石などを有する観光都市。
北は日本海、南側は山々に囲まれた自然あふれるエリアでもあります。
そんな豊岡市には知る人ぞ知る隠れた名所も点在。
今回はのどかな山里にたたずむ古刹の、感動的な景観をご紹介します。
兵庫県の北部に位置する豊岡市は、全国的にも有名な温泉地・城崎温泉や但馬の小京都とよばれる出石などを有する観光都市。北は日本海、南側は山々に囲まれた自然あふれるエリアでもあります。そんな豊岡市には知る人ぞ知る隠れた名所も点在。今回はのどかな山里にたたずむ古刹の、感動的な景観をご紹介します。
今回最初に訪れたのは、豊岡市のなかでは南東に位置する人気観光地・出石。室町時代から城下町として栄えたこのエリアには、日本最古級の時計台「辰鼓楼」、慶長9 年(1604 年)に築城された「出石城跡」など歴史あるみどころが集まっています。157 段の石段を上った城跡の高台からは町を一望することができました。
また、豊岡市はかばんの生産が盛んなことでも有名です。出石城跡近くに店を構える「かばん工房遊鞄」は国産高級帆布を使用したオリジナル商品を販売しているほか、かばん作り体験も楽しめます。
〈上〉出石城の石垣を利用して明治4年(1871)に建てられた辰鼓楼 〈左下〉門や櫓などが残る出石城跡。桜の名所としても有名 〈右下〉かばん工房遊鞄のオリジナルブランド「出石帆布」の一例。トートバッグ(大)1万2960円など
出石から車で約20 分、のどかな山里にたたずむ古刹「但馬安國寺」に到着。鎌倉時代に開山し、康永4年(1345)に足利尊氏開基によって安國寺に改称された歴史ある寺で、全国に68 ある安國寺(安国寺)の一つです。
この寺は近年ある風景が話題となって、多くの人が訪れるようになりました。それは、裏庭の築山に植えられた、紅葉シーズンには真っ赤に色づくドウダンツツジ。本堂の下間から見ると座敷の障子枠が額縁の役割を果たし、まるで美しい絵画を眺めているようだと多くの参拝客の感動を呼んでいます。
このドウダンツツジは樹齢約150 年。冬場の積雪によって上方へ伸びるのを阻止され、また、一年を通じて斜面を流れる湧水が好条件となって株が増え、現在のような横に広いかたちになったそうです。まさに自然が生み出した奇跡のアートです。
〈上〉紅葉シーズンはこの景観をカメラにおさめようと多くの参拝客が訪れる 〈下〉新緑のドウダンツツジも紅葉シーズンに負けない美しさ
「安國寺には三つのかけがいのない自然物があり、それぞれに仏様が宿っているんです」と語るのは住職の真田さん。一つ目はドウダンツツジで、二つ目はナツツバキ。
ナツツバキは6 ~ 7 月にかけて、直径5 ㎝ほどの可憐な白い花を咲かせる植物です。安國寺から約300m 離れた場所にある旧安國寺跡(安國寺公園)には千本以上が群生しており、境内のナツツバキもここから移植したものです。
三つ目は、地域によっては天然記念物にも指定される絶滅危惧種のモリアオガエル。5 月から7 月には池の上に伸びたドウダンツツジの枝に泡状の卵を産み、約2 週間でふ化、オタマジャクシが、池の中にポトポトと落ちる様子が見られます。取材時も時折「カカカカカ」という、甲高いけれど耳心地のよいモリアオガエルの啼き声が辺りに響き渡っていました。
〈上〉ナツツバキの花の美しさには、かたくなな人の心も解きほぐす力があるという 〈左下〉ドウダンツツジに産みつけられたモリアオガエルの卵 〈右下〉境内には温泉の守護神とされる温泉薬師も祀られている
安國寺では、ドウダンツツジや、ナツツバキ、モリアオガエルを見たいという人を通年受け入れてくれます。特にドウダンツツジは、満点星の異名があり、白く可愛い花が咲く4 月中旬~5 月初旬や、美しい緑の葉が築山を覆い尽くす夏など、一年を通して見る者を楽しませてくれるので紅葉シーズン以外に訪れるのもおすすめです。
「安國寺の三自然佛に出合うことで、その後の豊かな人生を育んでほしい」。住職の真田さんの言葉の通り、安國寺の自然にはどこか心を打つものがありました。みなさんも尊い自然を体感しに訪れてみませんか。
(2018年6月)
〈左〉住職の真田さんは自然の偉大さを後世に伝えることが使命と考えているとのこと 〈右上〉現在の本堂は明治37年(1904)に建てられたもの 〈右下〉本堂内でお祈りを捧げる住職の真田さん
但馬安國寺から車で5 分のところにある「但熊」では、養鶏場を営む店主が考案した卵かけご飯が大人気。
卵かけご飯定食360 円では自家製の産みたて卵を、こちらも自家製米の“夢ごこち” の上にのせて、さらに自家製ブレンドのだし醤油をかけていただきます。卵はいくつ使ってもOK という太っ腹ぶりなサービスも魅力です。
多い日は1000個以上の卵がなくなることもあるという人気ぶり
辰鼓楼(しんころう)
【電】0796-52-6045(但馬國出石観光協会)【住】豊岡市出石町内町【交】JR豊岡駅から全但バスで35分、出石営業所下車、徒歩5分【料】【時】【休】周辺自由【P】周辺駐車場利用
出石城跡(いずしじょうせき)
【電】0796-52-6045(但馬國出石観光協会)【住】豊岡市出石町内町【交】JR豊岡駅から全但バスで35分、出石営業所下車、徒歩5分【料】【時】【休】周辺自由【P】150台(有料)
かばん工房遊鞄(かばんこうぼうゆうほう)
【電】0796-52-5055【住】豊岡市出石町内町76-5【交】JR豊岡駅から全但バスで35分、出石営業所下車、徒歩5分【時】9時30分~17時【休】不定休【P】20台
但馬安國寺(たじまあんこくじ)
【電】0796-54-0435【住】豊岡市担東町相田327【交】JR豊岡駅から車で40分【時】8~19時【休】無休【P】60台
但熊(たんくま)
【電】0796-55-0901【住】豊岡市担東町栗尾916【交】JR豊岡駅から車で45分【時】9時30分~18時【休】無休【P】45台