千葉県東部、九十九里浜のほぼ中央に位置する大網白里市は、
白砂の美しいビーチと田園が広がる自然豊かな町。
近年、地元の特産品を使ったユニークなグルメが登場していると聞き、
その開発秘話に迫るべく、市内の飲食店や農産物直売所を訪ねました。
千葉県東部、九十九里浜のほぼ中央に位置する大網白里市は、白砂の美しいビーチと田園が広がる自然豊かな町。近年、地元の特産品を使ったユニークなグルメが登場していると聞き、その開発秘話に迫るべく、市内の飲食店や農産物直売所を訪ねました。
全長66kmにわたる九十九里浜の中でも、抜群の透明度を誇る穴場ビーチとして知られる「白里海岸」。約3.5kmの海岸線には白い砂浜が広がり、夏は海水浴をはじめ、サーフィンやSUPなどのマリンスポーツを楽しむ人で賑わいます。
春から夏にかけては、砂浜のあちこちでハマヒルガオをはじめとする海浜植物が咲き誇り、アカウミガメの上陸や産卵、ふ化も観察できるなど、自然豊か。また、古くはイワシ漁で栄えていたということもあり、沖合いでとれた新鮮な海の幸を使ったグルメは絶品です。
〈上〉海水浴シーズン真っ盛りの白里海水浴場。シーズン中には海の家が立ち並ぶ 〈左下〉かわいらしいピンク色の花、ハマヒルガオの群生 〈右下〉静かな冬の浜辺を散策するのも気持ちいい。サーフィンを楽しむ人の姿が見られることも
そんな白里海岸が広がる海の町として知られる大網白里市は、おいしい魚が食べられるのはもちろん、実は野菜や果物の栽培も盛んな食材の宝庫です。市の食材の魅力を広めようと、大網白里市商工会や地元の飲食店、農業、水産加工業、高校生などが連携し、地場産食材を活用した町の目玉となる料理の開発に取り組みました。試行錯誤の末、2014年に完成したのが、大網白里産の落花生を使用したコロッケ「ぴぃコロ」です。
千葉県は落花生の代表的な産地ですが、潮風と砂地によって育まれた大網白里産の落花生は、格別に濃厚な味わいなのが特徴。この自慢の落花生を何とか活用したいという考えから、ぴぃコロは生まれました。完成後には、同時期に開発されたイワシのつみれ入りのコロッケ「いわしっコロ」と共に、市内の学校給食のメニューにも登場。さらには「全国コロッケフェスティバル」にも出店するなど、徐々に知名度もアップ。現在ぴぃコロといわしっコロは、市内の飲食店やコンビニエンスストアなどで販売されています。
〈左〉岩勢のぴぃコロ(写真手前)といわしっコロ(写真奥)各1個220円。いわしっコロはビールとの相性も抜群 〈右上〉コロッケには大網白里産の落花生とホクホクのジャガイモを使用。シンプルなだけに食材の旨みが際立つ 〈右下〉こんがりきつね色に揚がった熱々をいただくのがおいしい。コロッケ1個は約80g
噂のご当地コロッケを求め、九十九里浜に面した海岸部の白里地区から田園が広がる中央部を抜け、緑豊かな西部の大網地区へ。JR外房線大網駅から徒歩圏内の割烹料理店「岩勢」に到着です。
「まずは何も付けずに、そのまま食べてみてください」と女将の岩佐恵美子さんのアドバイスを受け、揚げたて熱々のぴぃコロをひと口頬張ると、落花生の芳醇な香りに加え、サクッとした衣とホクッとした茹で落花生の新食感が楽しめます。それもそのはず、中には丸ごとの落花生がゴロゴロ。「自分の畑でとれたジャガイモと大網白里産の落花生を使っているんですよ」と岩佐さん。
続いて、九十九里産のイワシを使用したいわしっコロを食べると、磯の風味がふわっと口の中に広がります。2種類のコロッケには、大網白里の畑の恵みと海の恵みがたっぷり詰まっていました。
〈左上〉手作りの味を提供する人気店。コロッケカレー(ランチ限定)750円、いわしっコロとメンチカツ定食700円などのメニューも用意 〈左下〉JR大網駅から徒歩圏内でアクセス便利 〈右〉地元で34年、店を構える人気の割烹料理店・岩勢の女将さん
岩勢から車で走ること約5分。大網白里ならではのおみやげを探しに、「山武緑の風 大網店」を訪れました。ここは、JA山武郡市が運営する「山武緑の風」の旗艦店で、野菜やお惣菜、お菓子、調味料など、さまざまなご当地商品が揃っています。
なかでも人気なのは、青果物コーナー。地元農家さんたちが、その日の朝に自ら収穫した野菜や果物を、開店前に自ら店頭に並べます。鮮度抜群なのはいうまでもなく、品揃えが豊富で、しかも値段もリーズナブル。
種類豊富な野菜の中でも、「冬は“九十九里 海っ子ねぎ”がイチオシ」と副店長の鈴木さんが教えてくれました。海っ子ねぎは、地元でも限られた農家さんでしか栽培できない希少な長ネギで、ネギに海水をかけて適度なストレスを与えて育てることにより、通常より甘みが増すそう。「鍋に入れても、焼いて味噌を付けて食べてもおいしいですよ」(鈴木さん)。午後には売り切れてしまうこともあるので、開店直後や午前中の早めの時間に行くのがおすすめです。
〈上〉店舗から車で5分の畑で野菜を育てている津田芳幸さん。葉がピンと立った朝採れセロリは、葉っぱの先まで食べられる 〈左下〉県内に4店舗ある「山武緑の風」の中でも、大網店は一番の売り場面積を誇る 〈右下〉野菜や果物には生産者の名前が記されていて、安心安全。「生産者の顔が見える」のも魅力
青果物と並んで人気を博しているのが、大網店オリジナルの手作り豆腐。千葉県産の大豆を使用し、店内の工房で毎朝作っています。大豆の旨みを生かした濃厚な味わいで舌触りはなめらか、さらに、そのできたての豆腐を使った油揚げや厚揚げも大人気。ここでしか手に入らない逸品です。
ほかにも、九十九里の郷土料理「イワシのごま漬け」や房総の郷土料理「太巻き祭り寿司」、地元農家さんが自分たちの畑でとれた野菜で作る自家製の漬け物やジャム、スイーツ、地元精肉店の自家製ぴぃコロやいわしっコロなど、ご当地グルメのオンパレード。持ち帰りやすく、日持ちのする加工商品もあるので、おみやげ探しにもぴったりです。
アクティビティが楽しめるビーチから、地元の畑の恵みと海の恵みを使ったご当地グルメまで、お楽しみがいっぱいの大網白里市へ、ぜひ訪れてみませんか。
(2019年1月)
〈上〉イワシのごま漬け300円や煎りごまめ500円、しんこ餅1本250円~、農家の手作りジャム720円~など、大網白里や九十九里の郷土料理も豊富に揃う 〈左下〉店内の豆腐工房。千葉県産の大豆を一晩寝かせて仕込む 〈中央下〉できたての豆腐を熟練の技で揚げた、油揚げや厚揚げも人気 〈右下〉地元のはっかく精肉店の店主・八角博和さんが作るぴぃコロといわしっコロも販売
「金谷郷のひまわり畑」は、農村ふれあいセンター前の約1ヘクタールとJR外房線陸橋脇の約0.5ヘクタールの畑を、約5万本のひまわりが埋め尽くす絶景スポット。毎年、地元の方々が種を蒔き、丹精込めて栽培しています。特にJR外房線陸橋脇は、電車とひまわりの写真が撮れるスポットとして鉄道ファンにも人気です。
見渡す限り一面のひまわり畑は圧巻。7月下旬から8月上旬が見頃
白里海岸(しらさとかいがん)
【電】0475-70-0356(大網白里市商工観光課振興班)【住】大網白里市南今泉4881-1【交】九十九里有料道路白里ICから車ですぐ【料】【休】入場自由【時】24時間(海水浴場開設期間中は6~21時)【P】約1000台(海水浴場開設期間中は有料普通車1回500円)
岩勢(いわせい)
【電】0475-72-5965【住】大網白里市大網88-3【交】JR大網駅から徒歩10分【時】12~14時、16時30分~22時【休】月曜【P】10台
山武緑の風 大網店(さんぶみどりのかぜ おおあみてん)
【電】0475-70-0701【住】大網白里市富田23-2【交】千葉東金道路山田ICから車で15分【時】9~18時【休】火曜【P】120台
金谷郷のひまわり畑(かなやごうのひまわりばたけ)
【電】0475-70-0345(大網白里市農業振興課)【住】大網白里市金谷郷1356-2【交】千葉東金道路山田ICから車で10分【料】【時】【休】期間中見学自由【P】20台(農村ふれあいセンター駐車場利用)