万座毛から名付けられた「萬座」
沖縄本島のほぼ中央に位置する万座毛は、恩納村を代表する景勝地。力強い琉球石灰岩の断崖と美しい海を望むことができます。そんな万座毛のすぐ近くにあるのが、恩納村唯一の酒造所「恩納酒造所」。村民10名によって設立された合資会社で、地元で楽しむお酒を製造するためにつくられた小さな酒造所です。今も出荷量の半数以上が恩納村内で消費されており、地元で愛される泡盛を造りつづけています。
今回ご紹介する返礼品は、恩納酒造所の主力商品である泡盛「萬座」です。昔ながらの伝統的製法を継承し、受け継がれた技術と長年使い続ける蒸留器から生み出される、華やかで上品な香りとまろやかな味わいは、発売以来多くの泡盛ファンに愛飲され続けています。
「おんなの駅」にある泡盛専門店「かーみやー」
お礼の品の泡盛「萬座」をお届けするのは、恩納村の泡盛専門店「かーみやー」。新鮮な産地直送の野菜やフルーツ、お土産品も充実している産直市場「おんなの駅」で営み、その品ぞろえと目利きで地元内外に知られる「かーみやー」の店主、平野善也さんにお話を伺いました。
香り、味わい、旨みをしっかりと感じる泡盛
泡盛特有の香りや味わいをしっかりと残した「萬座」は、旨さを追求した泡盛。小さな酒造所だからこそできる、こだわりの泡盛です。43度と度数は高いですが、おすすめの飲み方はおいしいかちわり氷とともに楽しむオン・ザ・ロック。泡盛本来の芳醇で豊かな香りや味わいが楽しめます。
「飲みやすい泡盛と旨い泡盛は全く別のものです。飲みやすい泡盛というのは、泡盛特有のクセを抑え、アルコール度数を下げているもの。これに対し、泡盛特有のクセを十分に感じる、アルコール度数の高い造りたての原酒が一番旨い」と平野さん。
製造過程で生まれる泡盛の味の違い
「萬座」のおいしさの秘密を探るため、平野さんに原料のこだわりを聞いてみたところ、アルコール度数の高い泡盛では原料の味への影響は少ないのだといいます。泡盛の原料になるタイ米は輸入の関係で、どの酒造所も同じものを使用しています。さらに、アルコール度数の高い泡盛は希釈する水もわずかなため、水質が味に影響することも少ないのです。
では、泡盛の味の違いはどこから生まれるのでしょう?それは杜氏さんの手法の違いや、酒造所が持つ蒸留器の性能の違いなのだと平野さんが教えてくれました。昔ながらの造り方を変えない。古い設備を大切に修理しながら使い続ける。だからこそ萬座の旨みが生まれるのだそう。
常温で置いておくだけで熟成する泡盛
そうして造られる泡盛の特徴の一つが、常温で瓶のまま放置しておくだけで、熟成して美味しくなる不思議なお酒であるということ。3年以上熟成されたものは古酒(くーす)と呼ばれるようになり、口当たりが良く、豊かな香りと旨みが増していきます。また、アルコール度数が高いお酒ほど、熟成成分がたっぷりと含まれており、時間が経つにつれて熟成が進んでいきます。冷蔵庫に入れてしまうと熟成が止まるため、常温で置いておくのがポイント。平野さんによると、時間を置けば置くほど旨みが増していき、25年後が旨みのピークなのだそう。43度の萬座もたっぷりと熟成させてから、お正月などお祝いごとで家族が集まった時に少しずつ味わい、味の変化も楽しむのがおすすめです。
泡盛選びに迷ったらかーみやーへ
「萬座」をはじめ、かーみやーには平野さんがこだわって選び抜いたおいしい泡盛が揃っているので、どんな泡盛が良いかわからないという方にはぜひ立ち寄ってほしいスポットです。旨い泡盛を追い求める平野さんと酒造所がコラボレーションしたオリジナル商品がいくつもあり、その多くはここでしか買えないもの。他のお店にはない珍しい商品は、見ているだけでも楽しいものばかりです。
「人気のある酒を販売することは誰にでもできる。本当に旨い酒を探して、お客さんに本物を味わってもらいたいと考えて追求していくと、だんだんと銘柄が絞られてきたんですよ」と平野さんはいいます。
試飲しながら“ゆんたく”して選ぶのが楽しい
個性が際立つ泡盛の数々は、試飲することも可能。飲み比べて、自分の好きな味を探すことができます。ですがそれ以上にかーみやーで体験してもらいたいのは、お店に立つ平野さんご夫妻との“ゆんたく”(沖縄の方言。「おしゃべり」の意)。それぞれの泡盛の特徴を聞いているうちに、不思議と「試してみたい」と思ってしまうのです。
かーみやーではハブ酒もよく売れるとのこと。ハブ酒は「匂いがキツそう」というイメージがあったのですが、香りを嗅いでびっくり。時間をかけて丁寧に処理されたハブと10種類以上のハーブが漬け込まれており臭くありません。健康改善や美容効果など知らなかったハブ酒の効能を知り、試してみたくなりました。
おいしい泡盛との出会い
沖縄県内のありとあらゆる泡盛を試し、旨い泡盛を追求し続けてきた平野さんが絶賛する「萬座」。恩納村の豊かな自然環境の中で、小さな酒造所だからこそつくることのできる、力強い旨みを持つ泡盛です。毎日の晩酌に楽しむのもよし、5年後、10年後の節目に向けて熟成させるのもまたよし。お子さんが成人するまで熟成させる、なんていうのも良いですよね。まずは返礼品でこのおいしい泡盛を楽しんで、沖縄を訪れた際にはおんなの駅のかーみやーにも遊びに行ってみてくださいね。
沖縄支部(沖縄県恩納村担当) / 松本 佳恵(まつもと よしえ)
北海道旭川市出身、沖縄県在住。函館で大学を卒業したのち上京し、航空会社のシステムエンジニアに。都会で過ごすこと約8年、違う世界が見たくなり、飼い猫2匹とともに沖縄に移住して転職。文章も書くフォトグラファーとして活動を始めて7年目。沖縄の美味しいもの、美しいものを撮影するのが大好きです。
沖縄を代表する西海岸のリゾート地、恩納村。ビーチから望む美しいサンセットは必見です。世界一サンゴと人にやさしい村として「サンゴの村宣言」を行っており、自然環境保全にも力を入れています。